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伊藤詩織さん民事訴訟でついに勝訴!だが山口敬之は案の定控訴。まだ法廷の戦いは終わらないが詩織さんには頑張ってほしい!

昨日、私は伊藤詩織さんの裁判判決報告集会に参加した。

 

国際的に活躍するジャーナリスト伊藤詩織さんの民事訴訟でついに詩織さんが勝訴。2015年4月に元TBS記者山口敬之氏による合意なき性行為、すなわち性的暴行を受けたことにより1100万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁が判決公判で山口敬之氏に330万円の支払いを命じた。

 

判決によると、伊藤詩織さんは山口氏に就職相談を持ち掛け、2015年4月3日、東京都内の飲食店を2件回った。そして2件目で詩織さんは気を失い、しばらくしてから山口氏にタクシーに乗り込み、ホテルで無理やり性行為させられた。

 

その際詩織さんの勝訴のポイントとなったのは、
•タクシー降車時から入室までの状況から、伊藤さんが自らの意思に基づいて入室したとは認められない。
•早朝にホテルを出たのは、一刻も早く立ち去ろうとするための行動であったとみるのが自然。
•同日に産婦人科を受診してアフターピルの処方を受けている。
•友人などに相談し、9日に警察に事実を申告して相談している。

 

対して山口氏については、
・供述した事実経過について、信用性には重大な疑念がある。
・合意してない性行為だったことを以下のように認めた。
「被告が、酩酊状態にあって意識のない原告に対し、合意のないまま本件行為に及んだ事実、および原告が意識を回復して性行為を拒絶した後も原告の体を押さえ付けて性行為を継続しようとした事実を認めることができる」

 

あと判決報告集会で弁護士から聞いたのは、
・寿司屋を出る時点で相当酩酊状態。
・原告(詩織さん)の話が一貫している。
・原告に嘘をつく動機がない。

・被告(山口氏)に合理性なし。寿司屋を出てホテルに向かったのだが、タクシー内での話の内容がイマイチ信憑性がない。
・被告は話が何度も変遷していた。

 

これはもう詩織さんの完勝だろう。それと弁護士にとっては、裁判所の判断について嬉しい話もあった。
・裁判所側が性被害者の心理をきちんと理解していた。例えば、詩織さんがホテル内で電話があったにもかかわらず電話をしなかったのは、動揺していたから冷静さを失っていた。仮に電話かけられなくても不自然ではないというのを認識。
・事件数日後に山口氏に対して、詩織さんはお礼などのメールを送っていた。この件については、被害者としては受け入れられず、それでも普段通りには振舞っておく。被害による苦しみを逃れようとするならありうることと認識。
・山口氏の名誉棄損を退けるために、詩織さんの著書「Black Box」の内容を見た上で、「書いてあることは真実」「原告の訴えは公益目的だった」。中でも「性犯罪被害者を取り巻く法的または社会的状況を改善すべく体験した性的被害として公表する行為には、公共性および公益目的がある」と判断されたことが大きい。

 

「公共性及び公益目的がある」というのは、裁判では珍しい事だと思った。だが性犯罪被害者を取り巻く状況は未だ改善の余地が大きく、そのために体験した被害として公表することで将来的に役立つということ。これは言い得て妙だ。2年前からの #Metoo の影響もあったのではないか。

 

今回、参加者は女性と高齢者が比較的多かった。だができることなら男性や若者、特に詩織さんと同世代かそれ以下の年代の方がもう少し参加すればよかったのにと思った。彼らや彼女達にとっては近い年代の女性があのような勇気あるアクションを見せただけに、今後のために勉強になる部分はあるはず。何より将来自分やお子さんが同じ目に遭わないとも限らないのだから。

 

それにしても、山口氏は案の定控訴宣言してきた。何より「法に触れる行為はしてない」とのこと。
だが今までに性行為自体は認めたのだろう。今回の判決でも出たように、合意なき性行為。意識がないまま性行為を行い、意識を取り戻し、詩織さんが拒絶しても力づくで性行為を継続した。これでは準強姦・強姦、どちらも適用するというもの。

 

正直これでも判決に不服とはふざけた話。これで詩織さんの法廷での戦いの日々はまだ続く事となった。仮にも2020年は東京五輪イヤーだが、まさか裁判で丸5年になろうとするとは。

 

だが詩織さんには朗報もある。
実は9月末に、あの事件のあったホテルのドアマンが詩織さんを支える会に自分の供述を伝えていたのだ。そこには当時のより生々しい会話などがあり、世間がイメージしている以上に詩織さんは酩酊状態で危険。そして山口氏にホテルに連れていかれる際に必死に拒絶していたという内容だ。

 

これを検察が不起訴にしていたのは許せない。とはいえ、山口氏との控訴審になった場合、かなり大きなアドバンテージにはなる。今回の判決までには、この生々しいドアマン供述はなかった。それでも勝訴したのだから、控訴審に反映されれば有利になるはず。

 

15年4月の事件以降、逮捕取り消し、不起訴、検察審査会での不起訴扱いを経て、今回の民事訴訟までで4年8か月。もし15年6月に正当に山口氏を逮捕していれば、詩織さんはその後4年半はもっと幸せな人生を贈れたはず。それを台無しにしたのは山口氏だけでなく、警視庁上層部でもある。この経緯からして、政権との関りもクローズアップされている。特に山口氏は安倍首相の12年自民党総裁選をプッシュ、16年夏には首相礼賛本「総理」が発売された。逮捕を取り消した当時の警視庁刑事部長はかつて菅義偉官房長官の秘書を務めたことがある中村格氏。しかも中村氏は詩織さんにこの事件について取材された際、全力で逃げ出したこともあった。
否応なく司法・検察が歪んだと疑われるものだ。

 

そんな巨大な敵と今後も戦うことになる詩織さんは本当に大変だと思う。だが彼女は絶対にあきらめないと思うし、精一杯頑張ってほしい。ただ同時にお体には気を付けてほしい。

 

あと最後に。詩織さんの裁判を支える会の皆様、これまで本当にお疲れさまでした。