凡人エリックの blog

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安倍首相電撃退任にビックリ!安心はするがこれはゴールではない!今後は国民自らが考え、動け!

安倍晋三首相が突然辞任の意向」
8月28日昼過ぎにこの報道を見て思わずビックリした。

 

8月24日に首相としての連続在職日数が2799日となり、それまでの最長記録だった佐藤栄作氏(2798日)を抜き歴代最長となってから4日後だけにまさに電撃辞任表明といえる。

 

体調不良、すなわち持病とされた「潰瘍性大腸炎」が悪化したことで、国政に支障が出る、自信を持って応えられる状態ではないなどの理由で辞任を決意したとのこと。また24日には前週17日に引き続いて慶応病院で検査。この日は記録達成日とあって「体調管理に万全を期すために検査を受けた。これから再び仕事に復帰して頑張っていきたい」と元気に語っていた。だが実はこの日の時点で辞任を決意していたと28日夕方の会見でコメント。我々国民が思っていた以上に病魔に苦しめられていたと想像できる。

色々あったが、まずは素直に「お疲れさまでした、お大事に」と言いたい。

 

とはいえ、7年8か月続いた安倍政権については、諸手を挙げての評価にはならない。

 

まずは経済。

 

2013年からアベノミクスを標榜。これはいわゆるトリクルダウン形式。まずは上(富裕層)を潤わせ、それから下(庶民)が徐々にお零れを受けられるような形だ。だが結果的には富裕層しか潤わず、貧富の格差が拡大しただけ。

 

貧富の格差が広がる中でも景気拡大期間はしばらく続いていた。だが2012年12月から始まったこの景気拡大もいざなみ景気の73か月(2002年2月~2008年2月)という戦後最長記録は更新できず、実際は2018年10月に終わり71か月。その後景気後退局面に入ったと認定された。

 

そんな状況下でネックになったのが消費税増税だ。安倍政権発足の2012年12月から景気拡大期間が続いたとされていたが、その期間中も労働者は昇給もボーナスアップもままならず景気拡大・回復を実感できていなかった。そんな状況で2014年4月に5→8%、その後10%への引き上げは2度延期されるも、2019年10月にはついに10%に引き上げられた。

 

その結果が2019年10-12月期のGDP年率7.1%減。今でこそコロナショックで日本経済全体が一層停滞しているが、19年の10-12月はまだコロナショックより前。そういう意味では消費税増税は間違いというしかない。

 

雇用については、特に若者達から好評だったようだ。

 

確かに安倍政権発足以後から雇用拡大は見られた。だが、高齢世代大量退職によって門戸が広がったことと非正規雇用拡大で就職できた人数が増えたのが実情で、特に非正規雇用では身分が不安定、さらには給与も安い。これでは将来の生活も見通せず、その分結婚できない、子供も産めない、という悪循環で少子化の原因になっている。

 

巷では「外交の安倍」と呼ばれていたが、外交はどうか。

 

北方領土問題と拉致問題はもはや風前の灯火といえる。中でも北方領土問題のロシアに対しては、安倍首相はプーチン大統領とは通算30回近く会談してきたといわれる。それでも2016年12月には日本が総額約3000億円規模の経済協力を約束させられた。そして昨年の時点で既に北方領土は2島返還も絶望的。

 

米国とは蜜月関係と言われるが、実のところトランプ大統領に対してはポチになりきる事しかできていない。自動車への追加関税阻止の為にトランプ大統領の言い値、つまり高値で兵器を買わされている。いくら何でもナメられすぎだろう。

 

米国以外の国に対しては、事あるごとにバラマキで乗り切っているが、これを「地球儀を俯瞰した外交」とは笑わせる。単に「ATM外交」でしかなかったのではないか。

 

安倍政権で問題視されたのが、政権不祥事の多さ。最近のモリカケ桜、つまり森友学園加計学園桜を見る会コロナウイルス問題発生前には、国会において連日野党側から厳しく追及されていた。それでも安倍首相は森友問題については再調査拒否、桜を見る会問題については、潔白証明の為には名簿や明細書を提出すれば決着がつくのに、未だ未提出。更に最近は河井克行・案里夫妻の逮捕。こちらでは河井案里被告に自民党本部から1.5億円が支給されたのが事の発端とされている。背景には、安倍首相と折り合いの悪かった溝手顕正氏を落選させたいという首相の思惑があるようだが、逮捕されながらも河井夫妻は無罪を主張。

 

こんなお粗末で腐敗した政治が7年8か月も続いた。そんな安倍首相が悲願としていたのが憲法改正。だが、野党側は憲法議論に応じず、安倍政権下での憲法改正を非常に警戒している。警戒する理由は、「緊急事態条項」。これが発動されると、内閣の一存で国民の権利が制限される。法律に基づかない人権を制限する内容の政令も制定できる。そして緊急時対応を理由に人権制限の為の法律が次々追加される危険性がある。同時に自民党の改正草案による憲法第12条と第13条には「公益及び公の秩序に反してはならない」という文言があるが、国民主権から国家主権に変えようとしていることが明らかだ。

 

結局安倍首相は、本来あるべく政権運営よりも、憲法改正、疑惑隠し、追及・批判封じ、公文書改竄など、あらぬ方向に大きなエネルギーを使っていたような気がする。これでは長年の課題だった「国民と向き合う」ことなどできるはずはない。どんな不祥事があっても熱狂サポーターに支えられ、国政選挙では固定票の影響で6連勝中だったが、支持率は特に今年はジリジリ下降中だ。コロナウイルス問題への対応がお粗末で利権優先との批判もあった。ここでもGoToトラベルキャンペーンを筆頭に、あらぬ方向でばかり力を入れていた。病気は気の毒だとしても、余計な方面でエネルギーを無駄使いした印象が拭えない。

 

歴史的長期政権も中身が芳しくないのは、政治的な失敗というよりは、「利権優先でうまくいかないと逃げる」の繰り返しだったのが理由ではないか。官僚達は内閣人事局によって委縮及び忖度を強いられた。マスメディアはメディアコントロールされて擁護報道が目立った。国民達はメディアの報道の影響もあってか、政治離れが目立った。こうして安倍首相は誰にも咎められないうちに「裸の王様」になり、迷走して疲れた末に辞任。

 

せめて次の首相が安倍氏を教訓にして、真っ当な政治運営することを祈りたい。

 

同時に国民達は首相が変わる今こそ、自分で考え、動く必要がある。今までのように政治を放置したり、諦めていたら、また政権に好き勝手な事をされること必至。失ったものを取り戻すような感覚で政治の動向を見守ろう。安倍首相辞任で安心するのはいいが、これはゴールではなく新しいスタートなのだから。